2007年01月28日

テムズ川は見ていた

「煙突掃除の男」といったら、メアリー・ポピンズのお話に出てきた人を思い出す。煤だらけの手で握手してもらうと、幸運がついてくるのだったっけ。映画メアリー・ポピンズの「チム・チム・チェリー」と言うメロディーが浮かんだりして、なんとなく楽しいイメージがある。

しかし、実際には、煙突掃除は重労働だったらしい。この本を読んではじめて知ったのだが、施設から引き取られた(買い取られた?)子どもが煙突掃除の親方の下で、必死になって働いていたのだ。

煤だらけのひどい環境で、狭苦しく、息もできなかったのではないだろうか。成長すれば狭い煙突には入れなくなる。そうなったら、彼らはどうなるのだろう。捨てられてしまうのだろうか。

 主人公のバーナクル(フジツボという意味らしい)は、つらい煙突掃除の仕事にもかかわらず、明るい少年だ。煙突の中でサボったりする要領のよさもある。

 そんな彼がとんでもない密談を聞いて、証拠品をそれとは知らずつかんでしまい、秘密警察に追っかけられる、と言うお話である。
 
 バーナクルを拾ってしまい、やっかいごとに巻き込まれるテムズ川のはしけ乗り、トム。
トムの思い人、マグディバー夫人とその娘、ミランダ。悪役のクリーカー警部も含め、みんな魅力的な人々だ。

 日本で言うと明治時代くらいかな。ヴィクトリア王朝時代のロンドンが目の前にあるようで、楽しいお話だった。
 
 これを読んだ後、ディケンズの『クリスマス・キャロル』と『炉辺のコオロギ』も読んで、ヴィクトリア王朝時代のロンドンへのタイムスリップ・ツアーを楽しみました。


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Posted by hima at 14:44│Comments(0)
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