2007年01月06日
獣の奏者
お正月休みにひたすら読んだ本。
「守り人」「旅人」シリーズが完結しそうなのでそちらばかり気にしていたら、突然飛び込んできた新刊発売のニュースだった。学校図書館に入れようにも予算の余りはなく、
「新年度まで待つより私費購入だ!」
と、思い切って注文してしまった。いやあ、よかったです。物語の冒頭、主人公の母が亡くなる(というか、無惨な最期を遂げる)。
最後の最後にした、母の決断のすごさ。私も母親だが、子どもの命だけは守ろうとする気持ちが痛いほどに伝わって、ここで物語世界に引き込まれてしまい、あとはあれよあれよと言う間に上橋菜穂子マジックにどっぷりと浸かり、王獣に乗ってはばたいていた。
上橋菜穂子さんは、人類学者でアボリジニーの研究者でもある。アボリジニーはオーストラリア大陸の先住者でありながら、後から来た白人との摩擦により、苦難を極めてきた。彼らを知れば知るほどだと思うのだが、上橋さんの作品には文化の衝突により、一方が他方を押しつぶそうとすることの矛盾が鮮やかに描かれている。
ファンタジーと言うジャンルに入り、児童文学の扱いではあるが、この作品はぜひ、大人に読んでほしいと思う。大人になりかけの中学生たちにもぜひ、薦めたいと思う。もちろん、「守り人」「旅人」のシリーズも!
どこにも出かけず、冬篭りの正月休みだったけれど、いいお休みでした。三連休が終われば慌しい三学期の始まり、がんばりましょう!
Posted by hima at 16:12│Comments(0)
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