へんないきもの
〇くんは、かなり気まぐれである。自分の気に入ったことはとことん取り組むが、へそが曲がると見向きもしない。彼のお気に入りは『都会のトム&ソーヤ』とその他、はやみねかおる作品。
そして『バッテリー』。バッテリーを友だちに薦める文を書いてもらったが、Ⅰ~Ⅵまでだけではなく番外編『ラスト・イニング』まで読みこなし、見事に表現していた。
そんな彼がはまったのが、『へんないきもの』『またまたへんないきもの』の2冊である。
「きも~」「見たくな~い」と言う生徒もいるが、貸し出し数上位に必ず入る人気本なのだ。これが、彼の感性に訴えた(??)らしい。返却本コーナーでやけに熱心に見ているな、と思っていたら
「先生、図書館掲示増やしておいたよ」
「へっ、なんのこと?」
気づくと『またまたへんないきもの』についていたポスターをご丁寧にカウンター近くの書棚に張り出していた。
「うーん、これを身ながら仕事する私の身にもなってよ」
と、弱々しく講義したが聞く耳持たずだった。仕方がないので、一学期中のみということで不気味ないきものと付き合う日々が続いている。
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