本を読みたくなるとき
昼休み、○さんが来た。6年生の彼女、あまり本を読まない子だったが、
「センセイ、最近、太い本(=厚い本のこと)がおもしろくてさー。そういうのばっかり、借りてるんよ。」
見ると今日も、ドルフィン・エクスプレスを返して黒猫サンゴローを借りているところだった。やっと、本のおもしろさに目覚めたのね、と内心ほくそえみつつ、じゃあ、今度はこれなんかどう?と「
夏の洞窟」を薦めた。ところが、反応が今ひとつ。あれ、じゃあ別のを、と手に取ったら、彼女いわく。
「読みたいんだけどさあ、◇◇先生が、今は本なんか読んでる場合じゃないだろ。って言うのよ。」
何それ?せっかく読書に目覚めた子どもの芽を摘むなんて、と思ってよくよく聞いてみると、クラブ活動との関係だった。実は、今年の6年生はあるスポーツ大会で優勝し、県大会出場を控えている。この先何度もあることではないし、顧問でもある6年担任の先生は、今必死なのだ。
「私さ、みんなの中では成績があんまりよくなくてさ、でもキャプテンでしょう。がんばらないといけないわけさ。」
だからといって、本を読むなとはあんまりだと思ったが、それにしても、やらなくてはならないことがある時に限って本を読みたくなるのは、私も同じ。おかしくなってしまった。
ここで担任批判をしても仕方ないし、彼女の読書意欲も大事にしたいので、読みたい本は予約をかけ、大会が終わったら借りに来てね、と言って帰した。
関連記事